もうすぐ7月。北海道ツーリングの季節がやってきます。これから初めて北海道に渡る方も多いと思います。今回は北海道ツーリングの入口、新日本海フェリーで小樽に着いた時の話をさせてください。
車両甲板の緊張感

「小樽港について下船の準備をしてください」というアナウンスが流れる。その瞬間、車両甲板のあちこちでセルモーターの音が一気に響き始めます。
まだ車は1台も動いていません。バイクが実際に動けるようになるまで、車が先に降りていく分しばらく時間があるはずです。それでもエンジンをかける音が次々に重なって、甲板の中はだんだん煙たくなっていきます。
ちょっと豆知識 車両甲板では車が先に下船し、バイクは車の流れが空いてから動き出します。焦ってエンジンを早くかける必要は基本的にありません。
スレスレバックの危険性

エンジンの音以上に見ていて怖いのが、バックです。フェリーにバイクを積むときは壁際に前を向けて止めます。降りるときはそれを後ろに下げて向きを変える。
自分の真後ろに止まっている車がまだ1mmも動いていない。それなのに自分のバイクを自動車のキワキワまで下げようとしている人がいます。車に対して直角の状態でバックしているうちはまだいいんです。でも少しでも車と平行に近い角度でバックしようとすると危なくなる。バランスを崩して傾いたとき、トップケースやパニアケースが車体に当たる距離になってしまうからです。
ハンドルを持つ手に力が入っているのが分かります。視野が狭くなって余計にふらついている。「落ち着いて、大丈夫」って心の中で思ってしまいます。でも男同士のプライドもあるから、声はかけられません。
偉そうに言っていますが、初めて北海道に行った約15年前。自分もやっていたかもしれません。エンジンも早めにかけていたと思います。迷惑をかけたくない。早く準備をしないと後ろの人を待たせてしまう。その気持ちが逆に焦りになっていたんだと思います。
今でも変わらない1メートルの連鎖

今でもその光景は変わりません。車が降り始めても、甲板の中はギクシャクしたままです。前のバイクが1m進む。すると後ろのバイクが急発進してすぐに急ブレーキをかける。それが何台も続きます。結局1m先にはまだ動けないバイクが詰まっていて、すぐに止まる。それを何度も繰り返しているんです。
初めて北海道に行った年、小樽のフェリー乗り場を出てすぐの信号で見てしまったことがあります。甲板からの焦りをそのまま引きずったバイクが前のバイクに追突しました。その場でバイクがこけました。北海道の大地を踏んで1分。最高の旅が始まるはずだったのに、そこでツーリングが止まってしまった人がいました。

自立と助け合い、答えのない問い

車両甲板でバックできない人を、周りのライダーが手伝って押してあげている光景もよく見ます。それ自体はいい光景だと思うんです。乗り物好き同士で助け合うっていうのは。
ただ、もし自分が1人でバックできなくなったら、誰かに頼ってまでそのバイクに乗り続けるのか。それとも乗り換えるのか。正直、自分でもまだよく分かりません。
これから北海道へ渡る方へ

エンジンを早くかける人も、バックでキワキワまで攻める人も、多分みんな悪気はないと思います。自分もそうだったので。それでも、もし次オルやトマコマイでフェリーを降りる際は、少しだけのんびり周りを眺めてから動いてみるのもいいかもしれません。
もうすぐ7月です。これから初めて北海道に渡る方。特に大阪より西に住んでいる方は、休みを取るだけでも本当に大変だったと思います。その休みを使ってわざわざ北海道まで行くわけです。せっかくのその時間を最初の1分でつまづいて欲しくないなと思って、今回この話をしました。
しっかり準備して、安全に最高のツーリングにしてください。心から応援しています。
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