冬の北海道でバイクは乗れないのか?僕が元旦に氷の上をバイクで走って北海道の宗谷岬に向かった時の話。 | 車とバイクのベルブログ
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バイク歴30年以上のバイク系メディアのWEBライター。
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過去にバイクで年越宗谷、ベトナム縦断、台湾一周、日本一周を経験。
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冬の北海道でバイクは乗れないのか?僕が元旦に氷の上をバイクで走って北海道の宗谷岬に向かった時の話。

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ベル
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こんにちは過去に大型バイクで年越し宗谷を経験したベルです

雪国では冬にバイクに乗れないのかな?と考えた事はありませんか?

結論から言うと工夫をすれば真冬で地面が凍っていても乗れます。

僕は以前、元旦に北海道の宗谷岬にバイクに行ったことがあります。その時の日記を残しているので興味のあるかたは読んでいただければ、氷や雪の上をバイクで走る事の感覚がわかると思います。

それでは書いていきましょう。

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準備辺 スクーターやスーパーカブ?それとも愛車のW650か?どのバイクで宗谷に行くのかを悩む

9月
なかなか良いスーパーカブ90が見つからない。
オークションでいいのがあったけど競り負けてしまった。

10月
北海道が実家の友人が親切に「冬の北海道でバイクって走れるの?」と父親に聞いてくれたそう。

その返事を俺に送ってくれた

「雪のある冬にバイクにのると 必ずこける。
郵便配達の人たちは、両足で地面に足をつけて
倒れないようにバランスをとっているが それでもこける。
それは50CCの軽いバイクだから出来る芸当で
250ccになると足か手を折るだろう。
従ってスピードもせいぜい20Kmしかだせない。
団地内の道路ならいいがちょっと広い道路だと
こけたとたんに後ろからきた車に轢かれておだぶつとなる。
つまり冬の北海道をバイクで走ろうなんて、自殺行為にひとしい。
だれもバイクで走っていない。
もうすでに雪がきている。
北海道をバイクで走れるのは 5月から9月までに限られる。」

友達の父親には全く恨みもなんにもない
むしろ答えてくれたことに感謝なんだけど「50ccしか出来ない」と書かれているのをみて「じゃあ俺はW650でやってやる!」と思った。
W650でいくぞ!

スパイクタイヤの制作とバイクを冬仕様に改造

11月19日
バッテリーが弱っていたので交換した。
W650のバッテリーの交換はめんどくさすぎる・・・
サイドカバーを外して横からバッテリーを抜き差しする構造になっている。
交換のついでにプラスの端子から予備のコードを追加して常時電源をとれるようにした。
これで携帯などの充電はエンジンを止めても可能だ。

11月19日と11月23日の二日間の合計8時間ぐらいを費やしてようやく
フロントタイヤのスパイク打ち込みが完了した。

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フロントだけでこの大変さなのに面積の大きいリアタイヤの事を考えるとゾッとする
フロントタイヤのみ組み込んで試走してみたがスパイクうんぬんというより
ブロックタイヤの乗り心地が最悪で全然曲がらない
オフ車と考えてリーンアウト気味に寝かせてやるとまぁまぁ曲がるがやっぱりまがらない

速度70キロまで出したがスパイクピンの抜けは無し

フロントタイヤのショルダー部分が張り出したせいでフェンダーに干渉するので加工をしなければ・・・

11/25
夜仕事が終わってからリアタイヤの交換をした
フロントはエンデューロ用のIRCのVR35
リアはミシュランT63にした
このタイヤはオフロードにはまってた時に気に入ってKLXに履かせてたタイヤ
トラクションが安物のわりにはしっかりとかかったように覚えている。(ただし横滑りには弱い)
明日の日中はスパイクピンの打ち込み作業だ
一日で終わるだろうか・・・・
そして山に登りたい・・・

12/02
誕生日を迎えた
とうとう35歳である・・・人生が70歳だとしたらまさに折り返し
やりたいことをやって好きに生きようと2011年は決意してやってきた。
良い事も悪いこともあったけど自分の経験となったならそれでいいじゃないか

作業の方はというと、この前の土曜日にリアタイヤにスパイクをほとんど打ち込みほぼ完成
あえて切れ味の悪いコンクリートドリルを使用して摩擦でタイヤのゴムが溶けたところにスパイクを打ち込んでやると比較的すんなり入った
とは言え、作業はやっぱり8時間ぐらいかかった。上半身を使って渾身の力でスパイクを挿入するために体中が痛い(-_-;)

腐っても大型バイク、W650
馬力50と車重220kgでリアのスパイクが抜けないかが心配
スパイクを落ち着かせるのとテストを兼ねて片道50kmぐらいのツーリングの必要があるな・・・
フロントフェンダーの加工を済ませてからにしよう

12月3日
午前中にリアタイヤのスパイク打ち込みコンプリート
ワインカップピンとのブレンドで行こうかとも思ったがチップピンしか手に入らなかったので全部チップピンにした。

打ち込み時にあえてスパイクピンをドリルチャックに斜めに装着することで割と楽に打ち込める事が判明
おそらく首を振りながらゴムにあたるので強烈な摩擦熱が発生してゴムが軟化→スムースインだと思われる。
オレの苦労はなんだったのか(笑)

試走として高速を90キロで走ってきた
ピンの抜けなし!良かった・・・

その後自宅にて北海道厳冬期用として5w-30のオイルに交換

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グリップヒーター取り付け
大型エンジンガード取り付け

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あとはフロントフォークがおそらく寒くてオイルの粘度が増し、ほぼリジッドサスになると思われるのでG10→G5に変更する予定。

12/7水曜日
今日は有休をもらって免許の更新へ
過去に免許取り消しスレスレまで行ったけど今やゴールドカ
ード
免許の中にある”優良”の文字をみてなんだか半笑いになった。

午後、バッテリーから直接電源が取れるように予備線を付けた。
車種不明のオフロードフェンダーを中古で買ってW650と寸法合わせを行う
ステーを買ってきたら簡単に付きそうだ・・・

ちょっとバイクの場所をずらそうとして押して歩くとなんだか重い
大型エンジンガードのせいなのか?
こんな重量をアイスバーンの上でコントロール出来るのか?
ここ最近決行の日が近づいてどんどん不安になっていく

(自分用メモ)
プラ板 65*45
L字ステー2本
コンテナ
メーターバイザー

12/11
フォークオイルを純正指定のG10から柔らかいG5に変更した。
気温-10℃を超える環境ではこれぐらいでいいはず
汎用のオフロードフロントフェンダーを試行錯誤のすえ取り付けて今日もミニツーリングへ
今日は速度100キロ近く出してみた
そしたらリアのスパイクが一本抜けた
フロントのスパイクもシャンクからピンが抜けてた・・・また補修しないとな・・・・
あと、シリンダーヘッドカバーからKAWASAKI恒例の油漏れ
パッキン交換までもないかな?今度液体パッキン塗りなおしてみよう

今日気づいたのはやっぱり風防がないと寒い!
帰ってamazonで旭風防ポチった。

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12/17
今日はシリンダーヘッドの油漏れ修理
プラグを純正のCR8E→CR7Eに一つ熱価を下げたものを取り付け
旭風防取り付け+ヤママルト社製のハンドルカバー取り付け
スパイク補修+Fフェンダーもフロントがフルボトムした時に干渉してたので修正
以上を行いテストラン
油漏れ無し
Fフェンダーの干渉もOK

今日何気なく前後のスパイクピンの数を数えてみたらF180本 R220本 だった。
大型バイクにしてはちょっと少ないかな?

あとは荷物のパッキングだ。

自分用メモ
敦賀~大阪間 標準空気圧
道内 1.3kg
70キロ以上出さない事

12/25
メリークリスマス
今日は荷物のパッキングを行った
それとまだタイヤに打ち込めるスペースがあったのでさらにスパイクを打ち込んだ
これで前は220本
リアは250本ぐらいになっただろうか?正確には数えていない。

12/28
すべての準備は整った
長い長い準備期間だったけど
何かに向かって進んでいる時って
普段と違って、友達の誰かがどうしてるとか
芸能人がどうしてるとか
そういう周りの事が全然気にならなくなってた。
今、夢に向かって何ができるか?ただそれだけだった。

出発 装備を整えて大阪から敦賀港へ

12/29
出発の日
仕事をさっさと終わらせて「良いお年を!」と言って事務所を出た。
家に帰り、戸締りをし装備を着こみ18:00にW650に乗って出発。

大阪から敦賀までの道のり京都は渋滞しそうなので高速を使った。
スパイクの抜けを気にして高速を60キロで走る。
ガンガン車に抜かれて恐い。
大津あたりで高速を降りた、ここからは161号線で琵琶湖西側を北上する。
北海道まで雪は無いだろうと思っていたが琵琶湖を抜け福井に入るあたりでまさかのうっすら積雪。
恐い!
雨も降ってきたのでスーパーの駐車場に入り雨具を着る。
もう何処を見てもバイクは走っていない。

敦賀港着

敦賀港でフェリーの手続きを済まし、ロビーでぼーっとしてたら何人かの人に
「にいちゃんヘルメット持ってるけどまさか北海道にバイクで行くのかい?」
「はい、そうです」と伝えると「はあ!?」とびっくりしていた。

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24時、フェリー乗船
出港した時に「もう、引き返せないぞ・・・」と決意と後悔の入り混じった感覚に・・・

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12/30
苫小牧到着は22時
つまり22時間も暇って事
この日は海は大しけで恐ろしいほどフェリーが揺れてた
プロトレックの高度計が海抜0m→5m→0mと揺れに合わせて変化してて面白い
小説よむ→酒飲む→小説読む→酒飲むの繰り返しで時間を潰した。
写真はフェリー内で買った、北海道ではメジャーなガラナコーラ
異様に甘い。

北海道の苫小牧港に到着 氷の上を初めて走る

22:00
苫小牧東港着
準備をすませバイクでフェリーから降りた
その時の感想は

「や、やっちまった・・・」

「宗谷岬に行くのなんて絶対に無理!」

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まさか、これほどまで滑るとは思わなかった
フェリーを降りるなりバリバリのアイスバーン。
言うなれば平坦にならされていないスケートリンクの上をバイクで走っているかのような感覚。
縦にも横にもギャップがあり、ハンドルが勝手に右に左に振られる。
突然オフロードコースのウォッシュボードのようにもなっていたりする
しかもそれが土じゃなくて氷だ。
もう本当に想像の斜め上だった。

速度も良くて10キロぐらいを出すのが限界。
それでも国道234で岩見沢に行けるまで行ってみることにした。
駄目なら引き返そうと思った。
途中、のろのろと走ってると何台かの乗用車の窓が開き
道中気をつけて!」と声をかけてもらった
手を振って応えたいが手を出す余裕もないので大声で
「ありがとう!!」と叫んだ

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12/31
日付が変わり01:00になんとか岩見沢の街に到着
走っているとネットカフェが見つかったので吸い込まれるように入店

狭い部屋で体をくの字に曲げて就寝
年越しまで24時間を切った。

北海道入り二日目 ガソリンタンクが開けれない

07:00 起床
岩見沢出発

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まずはガソリンを給油とGSに入る
タンクの蓋を開けようと鍵を刺すも入らない
「?」
グッと押すとガリガリと言いながら少し入るがやっぱり蓋が開かない
「凍ってますね」店員が言う
なんども潤滑剤を差して15分後に蓋が開く。給油を済ませ出発

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トラブル発生 空気圧を落としすぎてパンク

とにかく滑る
後ろから車が煽ってくるが俺が本気でフロントもリアも滑らせて悪戦苦闘しているのがわかると
みんな距離を置いた。おそらくこのまま煽ってたらほんとに轢き殺してしまうかもと思うのだろう。

ある程度走って気づいたのだけど町中は本当に走りにくい
圧雪された雪の轍が縦に横にあってめちゃくちゃにハンドルを取られる
圧雪、べちゃべちゃの雪、道路に埋められてるヒーターのおかげでアスファルトが出てたり、民家からでた雪かきの雪が道路まで張り出していたりと状況が刻々と変化する。
ただし、なにかトラブルが会った場合はすぐに民家やお店などが近くにあり人の援助を得られるかもしれない。

その反対にオロロンロードのような海岸線の道は轍は無いけど何かあっても暖をとれるような場所もないし救助もなかなか来てくれないかも・・・等と考えていた。

あと、出発前にかった塗るタイプの曇り止めは全然効果がなかった。
息がシールドにかかり曇るのではなくって冷凍庫の霜のごとくシールドの表面が凍る
手でかるく拭うというよりも叩き落とすといった感じか・・・
中が中空になるダブルシールドがあるというが効果があるのだろうか?

13:00
R234→R40を経て名寄に入る
あまりにタイヤがグリップしないのでフロントの空気圧を1.4→1.3と段階的に減らしていた
空気圧を減らすと効果がわかるんだけどなにせビードストッパーを装着していないので禁断の空気圧の領域とは知りつつも空気を抜いていた
そしたらフロントタイヤがパンク
15:00 名寄の道の駅になんとか空気を補充しながら進み到着

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チューブ交換をしようと思ったらLレンチ持参するのを忘れてた・・・
途方にくれていたら近くにホテルがあるのを発見
ロビーに行きLレンチ貸してくださいというとすんなり貸してくれた
1時間でチューブ交換を終えて再スタート

ルートミス?疲労困憊で公園にテントを張りビバークを決意

なんとか頑張れば稚内駅から徒歩で向かってる友人K君と車で向かってるSさんに宗谷岬で会えるかもしれない。
そう思うと16時で真っ暗な北海道でも力が出た。
しかし焦りもあってか間違ってR40→R275に進んでしまう 

陽が沈むとそれまで気温が0℃近かったのがみるみる-5℃→-10℃と下がっていく
暗闇のなかヘッドライトが当たる白い地面を注視し黒と白だけのモノクロの世界をなんとか突き進んでいく

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寒い!
とにかく寒い
風にみるみる体温を奪われながらもとにかく年内の宗谷を目指して走った

途中、走りながら「あれ?俺なにしてるんだっけ?」とぼんやり考えていると
新雪の中に埋まった圧雪轍を踏んで10mぐらいカウンターを切って直線ドリフトしていた。
なんとか停止して「あ、宗谷を目指してるんだ」と暗闇の森の中で思い出していた
おそらく体温が下がって思考回路がどうにかなってたんだと思う
「まだだ!まだ間に合う!覚悟してたことじゃないか!」と自分にカツをいれた
その後5分おきぐらいに滑り転けそうになるたびにヘルメットのなかで

「ああ!!!!!くそぉーーー!!!!」

と大声を上げた
滑る事に怒ってるんじゃなくって、滑るたびに「もうやめようかな・・・」と思う軟弱な自分の心に叫んでいた

20時頃にセイコーマートが見えたので入店

暖かいコーヒーを飲んで体温が上がってくると冷静になってきた。
「無理をして飛ばせば年内に宗谷に間に合う」でも事故ったらどうする?
待ってくれている友達も心配するだろうし・・・」と考えて近くの公園でビバークすることにした。
セイコーマートの店員さんにバイクを一日置かせてもらうことをおねがいし
公園でテントを張る

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テントの中で味噌を溶いてモヤシとそばと豚肉を入れた
「汚い年越し蕎麦だな・・・」と考えながらフライの上をサラサラと滑る雪の音に耳を傾けて酒を飲んで
すぐに凍り出す水のペットボトルで遊んだりした

俺にとって24時間で苫小牧から稚内までW650で走る事は難易度が高すぎた。
睡魔がすぐに襲ってきてシュラフに体を入れて寝た。
よく考えれば奇しくも2012年は16歳で中免をとって20年目だ・・・
そんな事を考えながら眠りに付いた。

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北海道入り3日目 宗谷岬へ

2012 1/1

朝5時に目覚めて昨日の残り汁にご飯を投入しネコまんまを作る
新年になって初めて口にするのがネコまんまだなんて、いかにも俺らしい・・・

そして初夢は友達達のほとんどが出てきて温かい部屋でワイワイお酒を飲んでる夢
そんな夢が見れてオレは幸せだなと思いながらご飯を口に運んだ

テントを回収し、セイコーマートに置いているバイクに荷物を載せる

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その後、お礼を言いに店に入ると昨日の人はだれも居なかった。

念のためにコーヒーを買って「バイクを置かせてもらってありがとう」と女性店員さんに伝え店を出る

外でコーヒーを飲んでいると先ほどの女性が走ってきて
「これ食べてください。宗谷岬ですよね?道中気をつけてくださいね」と言い
肉まん2つを差し出してきた。
「いや、バイクも置かせてもらった上にこんなものもらえません」と言うと
「気にしないで下さい、がんばって!」といいまた店内へと小走りで走っていった。
新年初めて会った人にいきなり肉まんをもらってしまった。

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ありがたい
感謝しつつ胃の中にほり込んで出発

友達二人は今日の9時までなら宗谷にいるとの事
距離は60キロほど?
時間は2時間ある
時速30キロぐらい出せばなんとか間に合うんじゃないか?と思って恐いけどアクセルを開けた

今日の道のコンディションは綺麗なフラットアイスバーンだったので20キロから30キロ→そして徐々にスピードを上げて最高速は○0キロぐらいまで出した
死ぬほど怖かったが、「オレは今、氷の上で○0キロ出している!!うぉぉぉぉおお!!」と興奮もした

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荒い息で走ってると、息がかかってたちまちシールドが凍ってバリバリに
”冷静に・・・冷静に・・・”と自分に言い聞かせながら走る

対向車線の車が窓を開けて親指を立てて通りすぎていった頑張れって事かな・・・・?

ありがとう!と思って俺も親指立ててハンドサインしたかったけど一瞬もハンドルは離せない恐かった

そんな緊張した状態のなかでもバックミラーの中に綺麗な朝焼けが写り込んでいた
白銀の世界の中に登ってくる朝焼けはまた格別だった
ミラーの中に収まったその景色を見て「粋なバックミラーだな・・・まるでフォトフレームだ」とか考えてた

しかし、時間は淡々と過ぎていく、とにかくひと目だけでもあって握手をしたかった。

あと3キロ!

あと2キロ!

・・・・

そうして悪戦苦闘の末に宗谷に着いた。

時にはすでに9時を少し回っていた。
友達も見当たらなくってガッカリとしていた
「遅かったか・・・」

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だがしかし、着いたんだ!
とうとうずっと夢見ていた宗谷に着いたんだ!と一人感動!!

嬉しいプレゼント

15人ぐらいいる変態ライダー
いやいや
英雄達に会釈をして宗谷岬のモニュメントまで行ってバイクをおりると
色んな人がオレの方に駆け寄ってきて「すごい」とか「W650だ!大型バイクだ!」と騒がれていてなんで騒がれてたかよく分からなかったけど宗谷ライダーに「大型でくるのは珍しいんですよ」と説明される。

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確かに周りを見るとみんな原付で大型バイクはオレ意外に一台しかいなかった。

「写真とってもいいですか?」といろんな人にシャッターを切られている時に「べるさん・・・」と声が

振り返ると友達二人が!
うれしさが一気に込みあげて二人に思いっきりハグ
「怖っかったよー!」と言いながらとにかくハグした
思い起こせば力を入れすぎてちょっと苦しかったかもしれない
ごめんなさい
再会を喜んで沢山写真をとる

そしてK君から「プレゼントがありますよ」と
出てきたのは宗谷年越しキーホルダー
宗谷岬で年を越した者にのみ配られる伝説のアイテム
「やったー!!ありがとう!!」

もっと色んな話をしたかったけど、二人はもう行かなきゃいけない時間が来てしまった。
そして固く握手をしてさよなら
また、北海道で会おうね!!

その後も色んな人から絶賛され写真を撮られ、一段
落したので宗谷神社に初詣
友達と被災した人達の幸せと帰りの無事を祈る

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感動もすごかったが帰りの事を考えるとこれまでの恐怖が蘇り少し足が震えそうだった。

明日からは吹雪らしいので今日なるべく南下したいのもあって早々に出発
R40で下っているとドンドンと雪の量が増えてきた
深雪をココで初めて経験するんだけどもう、めっちゃくちゃ滑る

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宗谷で出会ったライダーに聞いた話を思い出していた

「元旦はありとあらゆる店がしまり、みんな休んでしまってろくなことが無いんですよね・・・」と

”あ!・・・ひょっとして除雪車も休み?”

どうやらそのようだ
そりゃ除雪作業車にも正月休みがあってあたりまえだわな・・・と自分を納得させる

その後もどんどんと雪は積もっていく

吹雪で自分のバイクのメーターが見えない! 絶望と事故への恐怖

(動画は吹雪く前の状況)

積雪量が20cmぐらいになってくるともう全くタイヤがグリップしない
10キロで進むのがやっとでそれ以上出せばフロントがすべる→カバーするとその反動でリアが滑る→立てなおすとまた滑る の、繰り返し
悪戦苦闘してるその横ギリギリを大型トラックが猛スピードでかすめていく
宗谷岬に着いて心の芯にヒビが入っていたが、この時、完全にボキッと音を立てて心が折れた。
もう本当に地獄だった。

複数人で走る安心感 バイク乗りとの出会い

それでも3、4時間格闘してたったの40キロメートルすすんだ天塩の道の駅に到着

そして雪がドンドンと積もっていく
雪が降ってきて視界が2mぐらいしかきかなくなってきた。
風もすごくって突風が吹くと反対車線に持っていかれてしまう

「これってもしオレが転倒したら後続車が来ても気付かずに轢かれるよな・・・」
「バイクを起こしてる間に後続車に何か合図するにしても一人でできないしどうしよう・・・」

そう思ってバイクを止めてたたずんでいた

その時「ブーン」とバイク二台の音が!

さっそく声をかける「どっちに行かれるんですか?」 「札幌だよ」と返事
「申し訳ありませんがご一緒させてもらえませんかね?」と言うと
「人数多いほうが楽しいし全然いいよ!!」と喜んでくれた
外はどんどんと吹雪いているがなんとか3人ならなんとかなりそうだ。

視界が2mぐらいの吹雪の中、20キロぐらいで必死に走る
シールドに雪がつもるから10秒に一度ぐらい、左手で雪を払うがその一瞬左手を離すのも恐ろしい。
ホッペタと足の爪先が寒さでジンジンと痛み
「ひょっとしたら凍傷とかにならんだろうな?」と考えていた。

そして、7時間かけてなんとか留萌まで着いた。

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3人ともにキャンプ道具は持っているがシュラフも昨日のテント泊で湿ってるし
今日はホテルが空いていたらホテルに泊まろうということになり、誰も反対はしなかった。
ホテルにチェックインして3人で飲み屋に飲みに行くことに・・・

知りあってすぐの3人だけど趣味と目的が同じだから楽しく盛り上がった
”バイクに乗ってきて良かったな・・・”と心からそう思えた

ホテルに戻って各部屋に別れ、シュラフを乾かしたりしてからベッドに滑り込んだ
普段なにも思わず使っていたベッドが、暖房が、トイレが、シャワーが、こんなにありがたいなんて思わなかった。
そして、フカフカのベッドで落ちるように眠った。

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北海道入り4日目 アスファルトのありがたみを知る

4日目
ホテルのロビーに9時に集合
みんな大好きセイコーマートで朝食を取る
ガソリンも入れて

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予報では今日は吹雪くと言っていたがなんだか晴れていた

オロロンラインを走り始めると風こそキツいが除雪もされて太陽が照り始めると
氷が溶けてアスファルトの肌が出てきた。

アスファルトの上だとすごくグリップする!
おお!アスファルト!!なんて素敵なんだ!

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別れとゴール

途中、増毛あたりの道の駅にてみんなで撮影大会したりして
そうしてまた、走りだしあっという間に石狩市に着いた
「また連絡します、ありがとうございました」
こういってここで二人とは別れた

この時は15時ぐらいだったか・・・
フェリーは明日の小樽発なのだがひょっとすると今日の苫小牧便に乗れるんじゃないか?と思いつく
一日あいた分、北海道の観光でもと考えはしたがもうとにかく家にかえりたい
あれほど待ち望んだ冬季北海道ツーリングだったけどこの三日間で身も心もズタボロだった
やっぱりオンロードバイクの大型できたオレが馬鹿だったのか?

電話して予約変更を依頼するとすんなりOK
日が沈んでしまう前にと頑張って苫小牧までW650を走らせる。

17時
苫小牧東港着

原付で来てた他二人の男の子にも声をかけてくれた
これまでの苦労話で盛り上がる

そして乗船の時間が来た・・・
船に乗りバイクを降りた時に
”ああ、終わったんだな・・・もう、怖い思いをしなくていいんだ”
と、心をなでおろした。
反面、美しい冬の北海道の景色を思い出して離れたくない気持ちもあった。
そんな複雑な思いのままベッドで横になっていた。

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おしまい

まとめ

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以上です。

こんな感じで僕は冬の北海道を走りきりました。

結論としては冬でも北海道を走れるのは走れるのですが危険だし、あまりオススメはしません(笑)

もし、同じことを考えておられるなら出来るだけ複数人でやったほうが良いですね。

どっちかのバイクが動かなくなったりトラブルが起きた時の安心感が違うので。

それでは皆さん、良いバイクライフを!

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