バイクに乗り始めて30年になる。日本一周もした。ベトナムも縦断した。台湾も一周した。その間、バイク用のドラレコをつけたことは一度もない。
一方で、車には10年以上前からドラレコをつけている。矛盾しているように見えるかもしれないが、自分の中では理由がある。
- バイク歴30年、バイク用ドラレコは一度もつけていない
- 車には10年以上前から迷わずつけている
- 「必要ないと思っている」わけではなく、車とバイクで導入のしやすさが違うだけ
- 結論として「つけました」ではなく、今も迷っている状態そのものを書いている
「バイク ドラレコ 意味ない」で検索すると、大体の記事が「意味がないと言われる理由」を並べたあと、「でもやっぱりつけたほうがいい」で締めくくっている。それはそれで正しいんだろうと思う。でも今日書きたいのは、そういう結論じゃない。車では迷わずつけたのに、バイクだけ30年間つけていない人間が、実際のところ何を考えて、何を面倒くさがって、今日もつけていないのか、という話だ。
車には迷わずつけられた理由
車のドラレコは、防水性能を気にしなくていい。だから昔から中華製の安いモデルが普通に選択肢に入っていた。電源もシガーソケットから取れるので、配線で悩む必要もほとんどない。
「安い」「防水を考えなくていい」「電源取りが簡単」。この3つが揃っていたから、10年以上前、特に迷うこともなくつけた記憶がある。
バイクの場合、この3つがそのまま崩れる。防水は必須になるし、電源の取り出しは車ほど単純ではない。安いモデルもあるにはあるが、防水性能まで含めると急に選択肢が絞られて値段も上がる。車で当たり前にできたことが、バイクだと一つも当たり前にならない。
| 条件 | 車 | バイク |
|---|---|---|
| 防水性能 | 不要 | 必須 |
| 電源の確保 | シガーソケットで簡単 | 取り出し場所を検討する必要あり |
| 本体価格帯の目安 | 安いモデルが多数 | 防水対応込みで2〜4万円台が中心 |
| 導入の手間 | ほぼ挿すだけ | 取り付け位置・配線・盗難対策まで検討 |
買うたびに、なぜかドラレコ付きを選んでいる
NC750Xを買う前、GB350Sの中古車を探していた時期がある。何店舗も回った。GB350Sを買う層は意識が高いのか、ドラレコが最初から装着されている個体がかなり多かった。台数もそこそこあったので、選び放題だった。
その時、頭の中ではこう思っていた。「ドラレコがついてる方かな」。
ここが自分でも不思議なところだ。ドラレコの必要性を疑っている人間のはずなのに、実際に選ぶ場面になると、無意識にドラレコ付きの個体に手が伸びる。「別になくてもいい」と「あったら嬉しい」は、矛盾せずに同居するらしい。
見積もりを見て、いつも指が止まる
「よし、つけよう」と思った瞬間は何度かある。だがそのたびに、値段を見て即やめる。
ちゃんと調べたわけではないが、体感でだいたい3万円前後はかかる。それだけならまだいい。そこに乗ってくるのが、以下の細かいコストだ。
- 取り付け位置をどこにするか考える手間
- SDカードを別途用意する必要
- ドラレコ自体が盗難の対象になるリスク
- レンズを定期的に拭くというメンテナンスの発生
本体価格そのものより、この「あとから付いてくる地味なコストの積み上げ」のほうが、実は自分の腰を重くしている気がする。3万円という数字だけなら、多分払える。払えるのに、払っていない。
バイク用ドラレコは前後カメラ一体型で2万円台後半〜4万円台が中心価格帯。ヘルメット取り付け型やミラー型はもう少し安く1万円台後半からある。ここに配線工賃(自分で取り付けない場合)が別途かかる。
それでも「あった方がいいかも」と思う瞬間
スーパーカブに乗っていると、煽られる
ここ最近、車のドラレコ映像であおり運転を告発する動きがYouTubeなどで増えたせいか、煽り運転自体は昔より減った印象がある。ドラレコ映像が証拠として扱われるケースも増えているようだ。
それでも、スーパーカブ110(JA59)に乗っていると、驚くほど煽られることがある。正直、ここまで煽られるのかと思う頻度だ。
ドラレコがついていれば、事故が起きなくても「ついていること自体」が抑止力になるかもしれない。そう思う瞬間は確かにある。
200〜300kmのロングツーリングで積み重なる「今のはやばかった」
一日200km、300kmを走るロングツーリングをする。自分では相当安全運転な部類だと思っている。車間距離もかなり広めに取るタイプだ。
それでも、「今のはやばかったな」と思う瞬間は、走行距離を重ねるごとに何回もある。
事故には至っていない。ただ、その「やばかったな」が記録として残っていないことに、まったく引っかからないかと言われれば、嘘になる。
周りのライダーも、意外とつけていない
ツーリング仲間や周囲のライダーを見渡しても、ドラレコをつけていない人のほうがまだ多い印象がある。だから自分もまだいいか、という気持ちになっている部分は正直ある。
これは安心材料でもあり、先延ばしの言い訳でもある。両方が同時に成立している、というのが実感に近い。
弁護士特約という、もうひとつの保険
「ドラレコをつけていない=危機管理が甘い」という自覚は、自分の中にちゃんとある。事故が起きた時、相手が事実と違うことを言ってきたら、証拠がない分、言い分が通りにくくなる可能性がある。
それでも動けていない理由のひとつに、任意保険の弁護士特約に入っているという事実がある。何かあった時は弁護士を頼れる、という思いが、どこかでブレーキになっている自覚もある。
ドラレコと弁護士特約は役割が違う”] 弁護士特約は「トラブルが起きたあとの交渉」を助けてくれるものであって、「トラブルの発生時に事実を証明する」ものではない。ドラレコがあれば弁護士特約はより機能しやすくなる、という関係性で、どちらかがあれば片方は不要という話ではない。
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中華製、1万円のドラレコをカートに入れては閉じる日々
最近Amazonで、1万円前後の中華製バイク用ドラレコをよく見かける。値段だけ見ると、車の時と同じ感覚で試せそうに思える。
ただ、車の時とは条件が違う。防水対応と書かれていても実際どこまで信用できるか分からないし、レビュー数が少ない商品が多く、人柱になる確率が高そうに見える。電源をどこから取るかという配線の検討も、シガーソケットに挿すだけだった車とは違って、また一段面倒に感じてしまう。
結局、カートに入れかけては閉じる。これを何度か繰り返している。
今のところ、まだつけていない
「意味がないと思っている」わけではない。車では10年以上前から迷わずつけている。煽られた実感も、ロングツーリングでの「今のはやばかった」の蓄積も、ちゃんとある。中古車を選ぶ時は無意識にドラレコ付きを選んでしまう自分もいる。
それでも、車の時のように「安い・防水いらない・電源も簡単」とはいかないバイクの事情と、3万円という金額、そのあとに付いてくる設置・SDカード・盗難リスク・メンテという地味な積み上げに、いまだに腰が上がっていない。
今の状態を一言でまとめると”] つけたほうがいいと思いながら、つけていない。今日の時点での、それが正直なところ。
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