北海道の広大な森や川は、私たちが普段想像する以上に多くの野生動物が生きる場所です。
数年前、あるキャンプ場で偶然隣にテントを張った方が、長年北海道の自然と向き合ってきたベテランハンターでした。焚き火を囲みながらお酒を飲みつつ語ってくれたその体験談は、テレビやニュースで目にする情報とは違い、命の重みと自然への敬意が伝わるものでした。
この記事では、そのハンターの話をもとに、ヒグマの実態や遭遇時の危険、身を守るための知恵を紹介します。読者の皆さんには安全意識を高める参考として受け取っていただければと思います。
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ハンターさんと偶然の出会いと夜の焚き火
数年前、北海道のあるキャンプ場で僕は偶然、長年ヒグマと向き合ってきたベテランハンターの方と隣同士でテントを張ることになりました。夜、焚き火を囲みながらお酒を飲みつつ話を聞く機会がありました。その時、数々の命がけの現場で培われた体験談を教えてもらったのです。
ニュースで報道されるヒグマ事故を思い返すと、彼の話はとても重く、僕たちが知っておくべき教訓に満ちていました。
森での厳しい現実

ハンターさんは静かに話を始めました。「ヒグマはただの大きなクマじゃない。森の主なんだ。」その言葉を聞いた瞬間、背筋がゾクッとしました。現場では耳を澄ますことが命に直結します。微かな音も聞き逃せません。「森の中では、音を聞き逃したら終わりだ」と彼は言います。
頼りになるのはボルトアクションライフル。精度だけでなく威力も重要で、セミオートでは力が足りないこともあるそうです。

セミオートとボルトアクションとの違いは以下の動画がわかりやすかったです。
彼が語る現場では、ヒグマの頭蓋骨は非常に硬く、心臓の位置も特定しづらい。しかも動く相手に50メートル離れた場所から正確に当てることは、並大抵の技術ではありません。1発目で仕留められなかった場合は、相方が2発目で援護することになります。一瞬の判断ミスが命に直結する世界です。

以下で紹介している本は過去に実際に北海道で起きた事件を元に書かれた漫画です。ヒグマの特性などが学べるしすごく面白いのでおすすめです。
難聴になりながらも現場に立つ理由

僕は思わず尋ねました。「ハンターさんは難聴になったと聞きましたが、耳栓などをせずに仕事を続けていたのはなぜですか?」
彼は少し笑いながら答えました。「森での仕事では、わずかな物音も命を守る手がかりになる。耳栓をしてしまうとヒグマの足音や枝の折れる音を聞き逃す可能性がある。だから、リスクはあっても耳はフリーにしておくんだ。」
この話を聞き、僕は命を守るためには常に危険を受け入れながら判断を下さなければならないこと、そしてそれでも長年ハンターとして現場に立ち続ける人への深い敬意を感じました。

難聴になることを覚悟で森の最前線に立つ姿勢は、単なる仕事を超えた使命感の表れです。
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ヒグマの知性と力

ハンターさんによると、ヒグマは僕たちがテレビで見る単純なイメージとは全く異なります。体重は300〜400kg、立ち上がると2〜3mにもなる個体も存在します。短距離では時速50km以上で走り、人間の行動を読み、状況に応じて警戒や攻撃を判断します。目は意外と悪いですが、鼻は驚異的に敏感で、数キロ先の人間の匂いも察知します。

特に危険なのは観光客による餌やりです。ヒグマが人間を「餌をくれる存在」と認識すると、予想外の攻撃行動につながります。重要なのは、ヒグマは本来人間を積極的に襲う動物ではないということです。無警戒な行動や餌付けが事故の原因になるのです。

下の本の著者は、北海道の山岳地帯でヒグマの捕獲や駆除を行ってきたベテランハンターであり、その経験をもとに書かれています。本書では、ヒグマとの遭遇や戦い、そしてその過程での心情や葛藤がリアルに描かれていますよ。
命を守る知恵と装備の重要性

その夜、僕はハンターさんから命を守る知恵を学びました。
森に入る際は、常に警戒心を持ち、ヒグマの生態を理解し、適切な距離を保つことが重要です。危険を回避するための装備もまた、欠かせません。たとえば熊よけ鈴は遠くからヒグマに存在を知らせることができ、クマスプレーは緊急時の自己防衛になります。
命を張る現場と報酬の現実

命を張る仕事であるにもかかわらず、報酬は決して高くありません。出勤1回あたり8,000円から最大4万円程度で、燃料代や銃弾代は自腹です。
それでも森でヒグマと向き合うことに意味を見出し、長年この仕事を続けている。その姿勢には深い敬意を抱かずにはいられません。
僕が感じたこと

今回の体験で僕は、命を守るためには知恵と勇気が必要であること、そしてそれを長年現場で実践し続けるハンターがいかに凄いことなのかを痛感しました。
恐怖と学びが混在する話の中には、自然への敬意や人間としての行動の大切さも含まれています。難聴になりながらも現場に立ち続ける彼の姿は、単なる仕事の枠を超えた使命感そのものでした。

以下の『羆撃ち』は、北海道の大自然でハンターとして生きた著者・久保氏の実体験を描いた一冊です。冬山の厳しい自然、ヒグマとの命がけの駆け引き、そして猟犬フチとの深い絆が、リアルかつ叙情的に綴られています。読んでいると、まるで自分も山中に立ち、著者と共に獲物を追う感覚に引き込まれるほどの臨場感がありますよ。
まとめ

北海道の森とヒグマ、そしてハンターのリアルな体験談を通して学んだのは、命を守るための知恵と自然への敬意です。森を訪れる際には、ヒグマの生態を理解し、安全な距離を保つこと。そして必要な装備で備えることが、命を守る最も確実な方法です。
今回の記事を通して、北海道の森やヒグマ、アウトドアの安全について学び、実際に役立つ装備を選ぶきっかけになれば幸いです。
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